今年度事業の報告

2008年11月12日(水)

子どもへの暴力防止プロジェクト助成の受賞団体が朝日新聞に紹介されました

子どもへの暴力防止プロジェクト助成の受賞団体が、2008年11月6日(木)の朝日新聞朝刊に紹介されました。

子どもへの暴力防止プロジェクト助成

孤立させない、親も子も 「子どもへの暴力防止プロジェクト」が20団体に助成

 子どもへの虐待の児童相談所への相談件数が昨年度4万件を超え、根絶のためには地域での取り組みがより一層重要になっている。朝日新聞厚生文化事業団は08年度、「子どもへの暴力防止プロジェクト助成」として全国20団体を支援することを決めた。その中から東京のカリヨン子どもセンターと、大阪府助産師会の活動を紹介する。

 ●心のケア、態勢を充実 カリヨン子どもセンター

 子どもが緊急避難できるシェルターを運営するカリヨン子どもセンター(東京都文京区)。弁護士や児童福祉関係者が中心となり開設して4年になる。親の虐待を逃れたり、身元引受人がいないために少年院へ入らざるを得なかったり。12歳から20歳まで約120人を保護してきた。
 多くが「自分なんか死んだ方がましだ」という思いを抱えていた。シェルターではスタッフが24時間見守るなか、ご飯を食べてゆっくり眠れる。それでも暴言や自傷行為は多い。「それは『私はこんなにひどいんだよ。それでも見捨てないの?』という試し行動なんです」と、理事長を務める弁護士の坪井節子さん(55)はいう。
 あるとき、19歳の女性を合唱に誘った。練習に通ううちに、表情が乏しかった子が「今日、笑っちゃった」と言うようになった。初めて海に連れて行った別の19歳の女性は、波打ち際でいつまでも幼子(おさなご)のように遊んでいた。
 シェルターの後の居場所として自立援助ホームを2カ所開いてきたが、生活の場とは別に、幼いころに十分遊ぶことができなかった子どもの心をケアする場が必要だ、と坪井さんらは痛感した。
 出来ることからと、事務局でカウンセリングを始めた。虐待されて凝り固まった心身をほぐそうと、ボイストレーニングも採り入れた。5回ほど体験した女性(19)は「おなかで息をすることを覚え、前かがみだった体が開くようになった。悩みも少しずつ軽くなってきた」と振り返る。
 今回の助成でダンスもできる16畳のフロアを借り、サロンを作る。臨床心理士によるカウンセリングや感情の表現法のトレーニング、絵画・音楽といった活動が無料でできる態勢を整える。「卒業生」が立ち寄れるようにし、ゆくゆくは他の施設の子も参加できるようにと考えている。
 カリヨンは鐘を連ねた楽器のこと。力を合わせ支援が響き合うようにとの願いをこめた。「生きていていいかもしれないと、子どもの心にパチッと灯がともるような瞬間がある。ここでその瞬間を増やしたい」とスタッフは願っている。(佐々波幸子)

 ●24時間、子育て電話相談 大阪府助産師会

 「子育てを1人で頑張らなくていいよ」。大阪府助産師会(大阪市)は電話の向こう側から届く母親たちのSOSに、そんなメッセージを発信し続けている。
 17年前に電話相談を始め、14年前から24時間で無料相談(06・6775・8894、通話料有料)を受け付けている。「薬を飲んだ後におっぱいをあげてもいい?」「離乳食を食べない」「泣きやまない」「耳に水が入った」など、初歩的な内容が多いという。
 07年度の相談は7523件。この6年で3千件増えた。国内だけでなく、外国からも電話がかかってくる。医療職のプロが24時間対応することが、利用者の安心につながっているようだ。
 会員は715人。大阪市内の赤ちゃんがいる家庭を回って悩みを聞いたり、健康状態を確認したり。思春期の性に関する相談や妊娠期子育て講座、学校への出前講座など活動は幅広い。電話相談は約100人が当番制で受ける。
 受話器ごしに虐待や育児不安を打ち明けられることがある。「子どもをたたいてしまう」「下の子がかわいくない」「義母に子どもを取られそうだ」。特に深夜に深刻な電話が多い。母親の成育歴や家族関係を1時間かけて聞き、「つらかったね。たたくのもつらいよね」と語りかけると、「聞いてもらえてよかった」と落ち着きを取り戻す母親もいる。
 「受け止めてあげることを大切にしている」と会長の山口福美さん(69)は言う。内容によっては、保健福祉センターと連絡をとりながら、母子の健康と安全を確保する。
 電話相談を統括する渡辺和香(やすこ)さん(46)は「昔なら近所や親類にもちかけていたような相談を電話で受けると、孤立しているんだな、と実感する。そんな母親のストレスを軽減すれば、虐待防止につながる」と指摘する。より的確な対応を目指し、虐待やドメスティック・バイオレンスに関する相談員の研修や、児童相談所との連携に力を入れていく方針だ。(中塚久美子)

 ◆このほかの18団体

 青少年の自立を支える埼玉の会(埼玉県上尾市)▽千葉県歯科医師会(千葉市)▽木更津市PTA連絡協議会(千葉県木更津市)▽クローバーキッズ協会(横浜市)▽RRP研究会(東京都渋谷区)▽日本社会事業大大学院宮島ゼミ(東京都清瀬市)▽女のスペース・ながおか(新潟県長岡市)▽子ども夢フォーラム(金沢市)▽なごやかサポートみらい(名古屋市)▽全国自立援助ホーム連絡協議会(名古屋市)▽大阪YWCA大宮保育園(大阪市)▽CVV(大阪市)▽MY TREE ペアレンツ・プログラム事務局(兵庫県西宮市)▽ウィメンズネット・こうべ(神戸市)▽子どもの虐待防止ネットワーク・かがわ(高松市)▽福岡県助産師会(福岡市)▽清心慈愛園(福岡県大刀洗町)▽ライツ オブ チャイルド みやざき(宮崎市)

 ■来年度も募集

 助成が決まった20団体への贈呈式は、11日に朝日新聞東京、大阪両本社で開かれる。助成は2年間で、08年度は計5960万円、09年度は計約9千万円。来年度分は5月から募集する。対象は子どもへの暴力防止をめざす非営利の民間団体やグループの取り組み。問い合わせは事務局(03・5540・7446)へ。ホームページ(http://www.asahi‐welfare.or.jp/)に概要を掲載。

 【写真説明】

自立援助ホームの夕食。子どもたちはスタッフ(中央)を「お母さん」と呼び、慕っている=東京都、筋野健太撮影
赤ちゃんの沐浴(もくよく)指導をする助産師の片山由美さん(左)。電話相談ではアレルギーやミルクのことをよく聞かれる=大阪府寝屋川市の橋本助産院、森井英二郎撮影

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