今年度事業の報告

2007年10月30日(火)

先進の自閉症療育プログラム~TEACCH研修セミナー(中国)のご報告

朝日新聞厚生文化事業団創立80年記念事業・中国自閉症教育支援事業の一環として、2007年9月8日と9日の2日間、中国・北京市で佐々木正美さん(川崎医療福祉大学特任教授)による講演会「先進の自閉症療育プログラム~TEACCH研修セミナー」を開催しました。両日は、自閉症の子どもの親をはじめ、施設の指導員、専門家ら500人以上が参加し、自閉症に関連する講演会としては中国では過去に例のない参加者を集めての画期的な会となりました。

2日間にわたる講演会に対する参加者の評価は高く、次回開催を望む声と、さらなる支援を望む声が多数寄せられました。

先進の自閉症療育プログラム~TEACCH研修セミナー(中国)会場の様子:写真

1.TEACCHプログラムが与えた衝撃

「例えば散髪や歯医者など、自閉症の子どもが苦手な活動は、実は生活をするうえで最も大切なことが多いと思います。どうすればいいかご指導をお願いします」。2日間を通じて通算4回の機会があった質疑応答に、会場中から多くの手が一斉にあがり、質問者はどれも切実な悩みや疑問を訴えました。また、「自閉症の正しい理解」に続いて紹介されたTEACCHプログラムによる自閉症の人たちへの具体的な支援の数々の例は、驚きをもって迎えられ、講演会の終了後には「ぜひTEACCHプログラムを地元で実施したいので指導をしにきて欲しい」という声がいくつも寄せられました。中には1日目が終了後、あまりの内容の良さに、遠い地元の関係者に電話をかけ、車を一晩かけて運転してまで会場に呼び寄せたという参加者もいたほど、多くの参加者に興奮をもって受け入れられました。

TEACCHプログラムが自閉症の子どもたちへの支援に行き詰まりを感じている中国のすべての参加者に、希望を与えるものであったことは間違いありません。

2.中国で始まり成果をあげつつある現場での実践

会場写真2 中国自閉症教育支援事業として朝日新聞厚生文化事業団は、北京星星雨研究所が2006年11月に開設した中国初のグループホームへのコンサルテーションを継続して実施しています。中山清司さん(京都市発達障害者支援センター副センター長)を中心に、2007年3月、5月、6月と、今回(9月)を含めて4回、日数にして通算12日間を費やしてTEACCHプログラムに基づいたグループホームの環境、スケジュール、作業内容などを設定し、現場職員への指導、トレーニングを行ってきました。

TEACCHプログラムでは自閉症の子どもたちを「指導」し、「できるようにする」のではなく、彼らの特性や性格、興味や得意なことに焦点をあて、環境やスケジュール、勉強の内容を、一人ひとりに合わせて設定していきます。TEACCHプログラムは星星雨グループホームの3人の職員に子どもたちの目覚しい変容を提示し、大きな動機付けと自信となっています。この成果は、今回の講演会の2日目に星星雨グループホームの主任職員が映像などを使って報告・発表を行い、参加者の大きな関心を呼びました。

星星雨グループホープは、すでに全国からたくさんの見学者を迎えているといいます。同グループホームがTEACCHプログラムを基にしたコンサルテーションで実践され、大きな成果を残しつつあることは中国の自閉症療育の現場にとってたいへん意義深いことです。

3.継続した支援を望む声

先にも書いてきたように、本事業の継続を望む声は多く、大きく寄せられました。それだけ日々の対応に困り、情報を渇望している中国の人々の様子が分かります。自閉症の問題というのは、それほど切実で深刻なものです。

佐々木正美先生写真2 佐々木さんはこのような講演会の開催といった支援を今回だけで終わるのではなく、今後も継続していく必要性を実感して日本へと帰国されました。「まさに数十年前、私たちがノースカロライナの人々に分け与えていただいた豊かな財産ともいうべきものを、今度は私たちが伝え、分け与える責任があるのではないでしょうか。私たちにできることがあるなら、隣人としてできる範囲でできる限りの協力をしたい」と心のうちを口にされました。

  

Senorenji_4  

1.日時    2007年9月8日(土)・9日(日)

2.ところ   解放軍歌劇院(中国・北京市)

3.講師    佐々木正美(川崎医療福祉大学特任教授)

        中山清司(京都市発達障害者支援センター「かがやき」

        副センター長)

4.テーマ   自閉症療育において世界で最も成果をあげているTEACCH

            プログラムについて、日本の先駆者が紹介、解説をする。

5.内容   ①佐々木正美さんの講演

       ②中国・星星雨グループホームで始まったTEACCHの実践報告

           ③中山清司さんによる日本における実践の紹介・解説

       ④参加者との質疑応答

6.協力   北京師範大学/北京自閉症協会/北京障害者

       リハビリテーションセンター/星星雨教育研究所

7.主催   朝日新聞厚生文化事業団

8.参加者   503人 (親、施設職員、専門家ほか)

9.特別講義  本セミナーの前日、北京師範大学で特別講義を実施
        しました。

        とき   2007年9月7日(金) 午後2時~4時半

        テーマ  「日本における自閉症教育の実際」

        講師   佐々木正美(川崎医療福祉大学特任教授)

        対象   北京師範大学・学生、大学院生など

        参加者  約80人

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