今年度事業の報告
2007年10月30日(火)
自閉症カンファレンスNIPPON2007のご報告
国内では自閉症の専門会議として最多の参加者を集める「自閉症カンファレンスNIPPON2007」を8月25、26日、西早稲田の早稲田大学で開催しました(自閉症カンファレンスNIPPON実行委員会と主催、厚生労働省・文部科学省・日本自閉症協会・テレビ朝日福祉文化事業団・全日本手をつなぐ育成会・日本知的障害者福祉協会後援)。
全国から約800人の参加者を集め、6回目を迎えた今回も、米国・ノースカロライナ大学TEACCH(ティーチ)部の最高責任者ゲーリー・メジボフ教授が超多忙なスケジュールを調整して駆けつけました。また、かつてTEACCH部でセラピストとして「ペアレント・メンタープログラム*」の開発に関わり、現在はノースカロライナ州自閉症協会で親の立場で活躍するアン・パーマーさんにもお越しいただきました。
パーマーさんは、ご自身が自閉症の子どもの母であり、ペアレント・メンターの専門家でもあります。パーマーさんの実践に基づく話は、自閉症の子どもを持つ日本の親ごさんにとって今後の大きな支えになることでしょう。
川崎医療福祉大学特任教授の佐々木正美さんを中心に集まる実行委員会が企画・準備を進め、運営をするこのこのカンファレンスは、全国の教師・専門家・親など多くの関係者から、自閉症関連の催しとして最も内容のある大きなイベントとして認識されています。今後も「自閉症を正しく理解する」支援者の輪を広げ、社会の移り変わりの中で責任を果たせるよう、さらなる向上を目指します。
開催中の2日間は、今回も趣旨に賛同した延べ100人を超える数多くの若いボランティアスタッフによって滞りのない運営が実現されました。彼ら、彼女らが次世代を担えるように育ってくれることも、このカンファレンスの大きな目的のひとつです。
*ペアレント・メンタープログラム
自閉症の子どもを持つ親がトレーニングを受け、経験を積み、新たに子どもが自閉症と診断を受けた親に対しておこなう支援プログラム
主な講義の内容は次の通りです。
8月25日(土)
午前10時~午後0時30分
「アセスメント~自閉症のただしい評価」
講師:ゲーリー・メジボフ(TEACCH部部長)
自閉症の人たちを正しく理解し、支援するために重要な「アセスメント」をテーマに、ゲーリー・メジボフ教授が世界最先端のTEACCHプログラムの視点から解説をしました。メジボフ教授は、自閉症の人に共通の特性があることを確認することが診断であり、それぞれの人のユニークな個性を理解することがアセスメント(評価)だと述べ、アセスメントの詳細な定義、重要性、その具体的方法として、特にTEACCHのインフォーマルな評価について紹介しました。
午後1時45分~4時15分
「ペアレント・メンター~親による親のためのプログラム」
講師:アン・パーマー(ノースカロライナ州自閉症協会)
アン・パーマーさんはご自身の取り組みをもとに、ペアレント・メンタープログラムの設立の経過、その目的、役割、メンターのトレーニング、メンターと家族のマッチングなどを紹介しました。また、このプログラムはそれを受ける家族の支えになるだけではなく、メンター自身が多くの人との関わりを通し、自分の子どもの理解・自閉症の理解を深め、地域の社会資源の情報を得ることができると話しをしました。
午後1時45分~4時15分
「基礎からの構造化~自閉症のおともだち」
コーディネーター:諏訪利明(海老名市立わかば学園)
諏訪さんはTEACCHプログラムの大きな柱である構造化について、その概念、具体例として構造化された教室やスケジュール、ワークシステムなどを紹介し、分かりやすく解説しました。
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8月26日(日)
午前9時30分~午後0時
「親と専門家による協働の創造」
講師:アン・パーマー(ノースカロライナ州自閉症協会)
アン・パーマーさんの二度目の講義では、自閉症の子どもを持つ自身の経験をもとに、親の抱える不安や困難を説明し、専門家との連携の重要性を述べました。また、連携する上で配慮すべきこと、連携を構築していくための課程などを解説しました。
午後1時~3時
「TEACCHプログラム・コアバリュー2007」
講師:ゲーリー・メジボフ(TEACCH部部長)
ゲーリー・メジボフ教授はこれまでの経験の中から、ノースカロライナ州で実際に関わった4人の利用者とその家族に関する事例をもとに、進化し続けるTEACCHプログラムの実践について話しました。
「援助者の思い込みによって、特定のプログラム、施設、特殊学級を排除したり、何かをダメだと決めてはいけない。子どもに合うものを幅広く用意することが大切」、「自閉症の人への援助は、いつ始めても遅すぎることはない。そのときに適切な介入を受ければ自閉症の人たちの未来が開ける」など、自閉症の人たちを支援するうえで欠くことのできない、1人ひとりの性格や成長の過程、得意なことに焦点をあてるTEACCHの理念をあらためて伺うことができました。
午後1時~3時
「基礎からの構造化~自立課題」
コーディネーター:村松陽子(よこはま発達クリニック)
村松さんは、自分でわかる・できる経験が、達成感、自信、意欲を育て自立につながると述べ、自立課題の具体例を映像で紹介しながら、一人ひとりにあった課題の選び方、ひとりでできることを目指した指導方法、課題の評価などを説明しました。
午後3時~4時15分
「自閉症カンファレンス2007年」
講師:ゲーリー・メジボフ(TEACCH部部長)
佐々木正美(川崎医療福祉大学特任教授・
自閉症カンファレンスNIPPON実行委員長)
内山登紀夫(よこはま発達クリニック院長・大妻女子大学教授)
全体のまとめとして、実行委員長の佐々木正美さんは、「TEACCHプログラムは高機能の自閉症の人にも低機能の自閉症の人にも共通に、その人の能力をより豊かに発揮するためのもの」であり、そのためにアセスメントが重要と述べました。
そして、「たくさんの皆さんと知識や情報を共有できたことをうれしく思います。皆さんがそれぞれの持ち場、ご家庭、職場、地域社会で、それぞれの文化にあわせてTEACCHプログラムをご活用頂くことを願っております」と閉会の言葉を述べました。
各分科会の発表者とテーマは次の通りです。
U10
コーディネーター 安倍陽子(横浜市東部地域療育センター)
原由香 高知県立山田養護学校 「自閉症の子どもたちがわかりやすい授業を目指して」
堀浩介 ゆうあい幼稚園 「ゆうあい幼稚園における統合保育の取り組み」
藤森省吾 保護者 「安定した日常と小学校入学に向けた家庭での取り組み」
元谷美保 香川県立香川中部養護学校 「お散歩に挑戦だ!」
森 貴幸 岡山大学病院特殊歯科総合治療部 「自閉症者の口腔ケアおよび歯科治療における視覚支援」
U17
コーディネーター 津田明雄(NPO法人クローバー)
小岱和代・秋山弓 静岡県立中央養護学校・県立富士養護学校 「特別支援学校における自閉症の指導~授業づくりと実践事例~」
久田亮平 NPO法人サンフェイス 「キーワードは『夢』と『可能性』テーマは『楽しい』サンフェイスの活動と実践」
松尾博史 京都市立吉祥院小学校 「小学校育成学級での取組(構造化・スケジュールの工夫)~本当の意味での情報の共有のために~」
前田淳裕 自閉症・発達障害サポートセンター「you-me」 「地域における自閉症特化型サービスの構築と展開を目指して」
須郷敏広・小林利恵子 京都府立舞鶴養護学校 「開校3年目の「自閉症学級」においての取組~チームで取り組む自閉症教育の充実~」
O18
コーディネーター 中山清司(京都市発達障害者支援センター)
西村昌広 障害者生活支援施設「ライフゆう」 「新しい入所支援施設の取り組み」
飯間仙三 ワークプラザたんぽぽ 「『さぬきうどん。たんぽぽ』から就労へ」
牧野正人 ウォーム・ワークやぶなみ 「発達障害のある人への就労支援」
岩佐美奈子 自閉症eネット 「自閉症eネットのとりくみ」
市原礼美 川崎市わーくす大師 「川崎市わーくす大師の就労支援」
高機能自閉症アスペルガー症候群
コーディネーター 幸田栄(横浜市東部地域療育センター)
岩井栄一郎 京都市発達障害者支援センター 「利用者のニーズから生まれた支援の取り組みについて~かがやき軟式野球部の活動から~」
菅谷恵子 船橋市立高根台第三小学校 「たかね学級の生活(高機能・アスペルガー編)~いつも多人数の情緒学級での生活は?~」
高松美香 保護者 「家庭での取り組み『計画をたてる』~時間とお金の使い方~」
寺澤美晴 長野県池田町役場 「ある職場の風景~自閉症青年から学んだ私達~」
宇留賀正二 山梨県発達障害者支援センター 「山梨県発達障害者支援センターにおける青年・成人期の支援について」
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